以前、友達とこんな会話をかわしたことがある。
「へえモロッコに行くの? どんなとこ?」
「町が迷路みたいにややこしいらしいよ。みんな迷子になるんだって」
すると友達は笑って言った。
「あんたはどこででも道に迷うから、おんなじやろ!」
ぜんぜん、違う!
私はたしかに迷うのが得意だ。
ひょっとしたら天才かもしれない。
でも、今まではどんなに迷っても平気だった。怖くなかった。
なんとかなるだろうと思っていた。
だけどモロッコの迷路は、違う!
初めて訪れたモロッコのメディナ(旧市街)。
フェズ・エル・バリ。
3秒で迷子。
そのまんま餓死。
いや、それくらいすごい巨大迷路だったのだ。
まがりくねった細い道。
細くて暗くて、狭い道。
両側の壁が倒れてきそう。
無数の小路が血管のように入り組んで、
広がったりつながったり、行き止まったりしているのだ。
そこを大勢の人々が流れていく。
大荷物を抱えたおじさんが歩いていく。
子供が走る。
物乞いが座りこむ。
早歩きのおばあちゃんに抜かされる。
通勤ラッシュ・市場ラッシュはけっこうすごい!
いっぱいに荷を積んだロバが通ると道はふさがれ、身を横にしなければ通り抜けられない。
それは生きた迷路だった。
なんとたくさんの道だろう。
なんとたくさんの人だろう。
私は迷路にとじこめられた。
人と道とにとじこめられた。
見上げれば空も狭かった。
砂色の古い壁にはさまれ、細くのぞいているだけだ。

窮屈そうな空を見上げて私は窒息しそうになった。
ひょっとすると閉所恐怖症の気があるのかもしれない。
出口がなくて苦しくて、そのへんのひとに道をきいたら、たまたま絨毯屋だった。
あやうく買わされるところだった。
「へえモロッコに行くの? どんなとこ?」
「町が迷路みたいにややこしいらしいよ。みんな迷子になるんだって」
すると友達は笑って言った。
「あんたはどこででも道に迷うから、おんなじやろ!」
ぜんぜん、違う!
私はたしかに迷うのが得意だ。
ひょっとしたら天才かもしれない。
でも、今まではどんなに迷っても平気だった。怖くなかった。
なんとかなるだろうと思っていた。
だけどモロッコの迷路は、違う!
初めて訪れたモロッコのメディナ(旧市街)。
フェズ・エル・バリ。
3秒で迷子。
そのまんま餓死。
いや、それくらいすごい巨大迷路だったのだ。
まがりくねった細い道。
細くて暗くて、狭い道。
両側の壁が倒れてきそう。
無数の小路が血管のように入り組んで、
広がったりつながったり、行き止まったりしているのだ。
そこを大勢の人々が流れていく。
大荷物を抱えたおじさんが歩いていく。
子供が走る。
物乞いが座りこむ。
早歩きのおばあちゃんに抜かされる。
通勤ラッシュ・市場ラッシュはけっこうすごい!
いっぱいに荷を積んだロバが通ると道はふさがれ、身を横にしなければ通り抜けられない。
それは生きた迷路だった。
なんとたくさんの道だろう。
なんとたくさんの人だろう。
私は迷路にとじこめられた。
人と道とにとじこめられた。
見上げれば空も狭かった。
砂色の古い壁にはさまれ、細くのぞいているだけだ。

窮屈そうな空を見上げて私は窒息しそうになった。
ひょっとすると閉所恐怖症の気があるのかもしれない。
出口がなくて苦しくて、そのへんのひとに道をきいたら、たまたま絨毯屋だった。
あやうく買わされるところだった。

