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Author:だだ
方向音痴で胃腸虚弱で臆病者の旅行好き

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ついでの旅モロッコ(12)  俺たちの音楽
ある日の夕暮れ。
土産物屋の兄ちゃんと話がはずんだ。
そのうち
 「ベルベルの音楽を知ってるかい?
  俺達の音楽を聞かせてやるよ!」
と言いだした。

土産物屋の2階。
倉庫のように小さな部屋だ。
3人の若者がボンゴをもってテーブルを囲み、
私一人を観客に30分ばかり聞かせてくれた。

彼らはドラマーだった。
楽器は実にシンプルで、いくつかのボンゴと銅製のカスタネット、
ボールペンで棚を叩いてそれも音に加えていたくらいだ。
だから音楽もシンプルだった。
高い音。
低い音。
響く音。
切れる音。
そして・・・リズム・リズム・リズム!
楽譜なんかありはしなかった。
誰かがつくったのでも、誰かが決めた音でもない。
自然に湧きだす音だった。
とめどめない泉のように、燃え上がる感情のように、
彼らに流れるベルベルの血からあふれで音楽だった。

それはまるで会話のようだ。
一つの音に二つが答える。
高くのぼり低く沈み、問いかけ答えあって、音が音にこだまする。
語りかけ笑いさざめき、時には饒舌にたたみかけ、
情熱的に燃え上がる。

音が音が音が、音が!
腹にこたえるボンゴの振動が、部屋いっぱいに詰め込まれた銀の小物をちりちりと震わせ、私の芯も震わせて。
それでいながらその音は、2階の小部屋にいることを忘れさせ、頭上に無限の星空が広がるどこまでも広い大地に私を連れていったのだった。

若者達は演奏しながらよく笑い、歌い、掛け声を叫び、しばしば楽器をとりかえていたが、やがて彼らの音は勢いよく歯切れよく終わった。
太鼓から手を離すと彼らはまた陽気に笑いだし、ベルベル語で一気にまくしたてた。
ぽかんとしている私に気づいて、
 「ごめんごめん、音楽をやると楽しくなっちゃうんだ。
  俺達はこれをサハラでやるんだよ!」
と言った。

私の英語は拙くて、彼らに感動を伝えられないことがもどかしかった。
でも、たとえ言葉の問題がなくても伝えきることはできなかっただろう。
こんなふうに全身で音を受けとめたことは今まで一度もなかったから。

せめてお礼に彼の店で買い物をして帰ろうとしたら
 「そんなのいいよ」
と言われてしまった。
 「俺らは音楽が好きで好きでたまらないから演奏したんだ。
  俺達の音楽を、ベルベルの音を、聞いてもらいたくて叩いたんだ。
  俺達の文化を知ってほしかった。
  それだけなんだよ!」

私には芸術とか音楽とかはよく分らない。
ただ彼らベルベルの血が、エネルギーが、ポジティブな明るさが生みだすシンプルな音は、
大地から生えてくる自然の響きのようにすばらしい音だった。
一生忘れられない音だった。
それをここに書くことが、誰かに伝えることが、せめて彼らへの御礼になればと思う。


モロッコ | 【2007-03-12(Mon) 19:00:40】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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