シャウエンは素晴らしかったが、あんまり寒いので山を下りることにした。
次は海だ。
タンジェだ。

ここまで来たらスペインが近い。
おいしいパエリアを食べにいこう!
張り切って長距離バスに乗る。
モロッコのバスにはCTM(公営バス)と民営バスの2種類がある。
CTMは目的地をめざしてまっしぐらに走るから、速いし、きれいだし、
スーツ姿の係員が乗客のチェックをしてくれるので、なんとなく信頼できる感じがする。

対する民営バスはずいぶん違う。
車内は暗くて埃っぽい。
シートが破れていたり底が抜けていたり、雨漏りしたり。
バス停なんかおかまいなしで、かなりどこからでも乗れる。
畑の前から乗る人もいれば、そのへんの家で降りていく人もいる。
大きなターミナルに停車すると物売りが次々と乗ってきて商売をはじめる。
私は12歳くらいの物売りからチョコレートを買って食べた。
スペイン製のチョコでけっこうおいしかった。
時間はちょうどお昼どき。
車内はトマトとタマネギのサンドイッチとオレンジの匂いと、人いきれでごたごたしていっぱいになる。
それは快適な旅行・・・とは、言えないかもしれないけど。
旅が楽しいと思うのはこんな時だ。
今の私には羽が生えてる。
行きたい所へ行き、見たいものを見て、食べたいものを食べている。
こんな贅沢ほかにはない。
私は空を飛ぶ鳥のように自由なのだ。
汚いバスにごとごとと揺られながら、そう感じるのだ。
次は海だ。
タンジェだ。

ここまで来たらスペインが近い。
おいしいパエリアを食べにいこう!
張り切って長距離バスに乗る。
モロッコのバスにはCTM(公営バス)と民営バスの2種類がある。
CTMは目的地をめざしてまっしぐらに走るから、速いし、きれいだし、
スーツ姿の係員が乗客のチェックをしてくれるので、なんとなく信頼できる感じがする。

対する民営バスはずいぶん違う。
車内は暗くて埃っぽい。
シートが破れていたり底が抜けていたり、雨漏りしたり。
バス停なんかおかまいなしで、かなりどこからでも乗れる。
畑の前から乗る人もいれば、そのへんの家で降りていく人もいる。
大きなターミナルに停車すると物売りが次々と乗ってきて商売をはじめる。
私は12歳くらいの物売りからチョコレートを買って食べた。
スペイン製のチョコでけっこうおいしかった。
時間はちょうどお昼どき。
車内はトマトとタマネギのサンドイッチとオレンジの匂いと、人いきれでごたごたしていっぱいになる。
それは快適な旅行・・・とは、言えないかもしれないけど。
旅が楽しいと思うのはこんな時だ。
今の私には羽が生えてる。
行きたい所へ行き、見たいものを見て、食べたいものを食べている。
こんな贅沢ほかにはない。
私は空を飛ぶ鳥のように自由なのだ。
汚いバスにごとごとと揺られながら、そう感じるのだ。
山の次は、海。
港町タンジェへやってきた。
海はジブラルタル海峡で、向こうへ渡ればもうスペインだ。
なんで海へ来たのかといえば、パエリアを食べたかったからである。
日程的にスペインに渡るのは無理でも、
「本場に近い港町で本場に近いパエリアを!」
というわけで。
目についた店で早速パエリアを頼んでみたが。
意表を突いて、まずかった。
あまりのまずさに、この町、もういいやと思った。
(治安があんまりよくなかったことも一因だが)
宿をチェックアウトをして、列車の時間までぶらぶらと、道端の猫と遊んでいたら。
猫の飼い主のおじいさんが、
「おいでおいで、うちへおいで!
子猫がいるんだよ。
見せてあげるから、おいで!」
と言う。
文字にすると誘拐犯の誘い文句みたいですが。
おじいさんは優しい人で、旅人を朝食に招待してくれたのだ。
彼はスペイン人の歯医者だった。
スペイン語しか通じない。
私はといえばスペインは「グラシアス」しか知らないが、
・・・スペイン語だろうがアラビア語だろうが英語だろうが、
私は日本語しか話せないんだから、どうせ同じである。
言葉はぜんぜん通じないのに、それでもフェリックス爺ちゃんは表情豊かに、そして多弁に、
故郷のスペインのことをきかせてくれた。
家族や仲間の、いろんな写真を見せてくれながら。
「観光するなら、やっぱりセビリアだよ!」
爺ちゃんの話を聞いているとスペインに行きたくなってきた。
もうちょっと日にちがあれば行ったのだけれど。
そうしてコーヒーや練乳や砂糖や、
パンやケーキやクッキーや、
バターやジャムやヨーグルトや、
チーズやプリンやジュースなど、
冷蔵庫のありったけの食料をテーブルに並べてもてなしてくれた。
最後に出てきたとっておきが、サラミだった。
「これはスペインのサラミだ。
美味しいぞ!」
ナイフで切ってパンやビスケットに載せて食べた。
適度な硬さと弾力があって、少ししょっぱいが濃厚な味がした。
噛めば噛むほど味のでるサラミ。
今まで食べたサラミは何だったのかと思うほど、抜群に美味しかったのだ。
欠片がこぼれてこないかと、子猫がひざに乗ってきた。
帰りぎわ。
「タンジェはスリが多いからな。
気をつけて、気をつけて、気をつけるんだよ!」
言いながら、お爺ちゃんは私のポケットいっぱいにキャンディを入れてくれた。
・・・子供みたいな気分になった。
港町タンジェへやってきた。
海はジブラルタル海峡で、向こうへ渡ればもうスペインだ。
なんで海へ来たのかといえば、パエリアを食べたかったからである。
日程的にスペインに渡るのは無理でも、
「本場に近い港町で本場に近いパエリアを!」
というわけで。
目についた店で早速パエリアを頼んでみたが。
意表を突いて、まずかった。
あまりのまずさに、この町、もういいやと思った。
(治安があんまりよくなかったことも一因だが)
宿をチェックアウトをして、列車の時間までぶらぶらと、道端の猫と遊んでいたら。
猫の飼い主のおじいさんが、
「おいでおいで、うちへおいで!
子猫がいるんだよ。
見せてあげるから、おいで!」
と言う。
文字にすると誘拐犯の誘い文句みたいですが。
おじいさんは優しい人で、旅人を朝食に招待してくれたのだ。
彼はスペイン人の歯医者だった。
スペイン語しか通じない。
私はといえばスペインは「グラシアス」しか知らないが、
・・・スペイン語だろうがアラビア語だろうが英語だろうが、
私は日本語しか話せないんだから、どうせ同じである。
言葉はぜんぜん通じないのに、それでもフェリックス爺ちゃんは表情豊かに、そして多弁に、
故郷のスペインのことをきかせてくれた。
家族や仲間の、いろんな写真を見せてくれながら。
「観光するなら、やっぱりセビリアだよ!」
爺ちゃんの話を聞いているとスペインに行きたくなってきた。
もうちょっと日にちがあれば行ったのだけれど。
そうしてコーヒーや練乳や砂糖や、
パンやケーキやクッキーや、
バターやジャムやヨーグルトや、
チーズやプリンやジュースなど、
冷蔵庫のありったけの食料をテーブルに並べてもてなしてくれた。
最後に出てきたとっておきが、サラミだった。
「これはスペインのサラミだ。
美味しいぞ!」
ナイフで切ってパンやビスケットに載せて食べた。
適度な硬さと弾力があって、少ししょっぱいが濃厚な味がした。
噛めば噛むほど味のでるサラミ。
今まで食べたサラミは何だったのかと思うほど、抜群に美味しかったのだ。
欠片がこぼれてこないかと、子猫がひざに乗ってきた。
帰りぎわ。
「タンジェはスリが多いからな。
気をつけて、気をつけて、気をつけるんだよ!」
言いながら、お爺ちゃんは私のポケットいっぱいにキャンディを入れてくれた。
・・・子供みたいな気分になった。





